【内閣委員会】米軍都心上空に訓練区域設定/危険な訓練まん延

 都心上空で米軍ヘリが危険な低空飛行訓練を行っている問題を追及しました。

 米軍は飛行訓練の実施状況について明らかにしていませんが、住民からの苦情・目撃情報や報道によって、都心で米軍ヘリがビルの合間を縫うような危険な訓練を行っている一端が明らかになっています。

 私は、防衛省が住民から寄せられた米軍機の飛行に関する苦情を記録し、米側に事実関係を照会した結果をまとめた資料(配布資料1↓)を示し、米軍ヘリが首都上空を頻繁に飛行してきたことは、米軍自身も認めていると指摘。

 続けて、米軍横田基地が主催している「関東航空機空中衝突防止会議」の目的と自衛隊の参加について確認。

 防衛省は、米軍が関東上空で航空機を運用していることから、空中衝突防止対策について日本の民間パイロット等と認識を共有するためのもので、自衛隊も参加していると答えました。

 私は同会議が、米軍機と民間機が空中衝突する危険性があるから注意せよと周知する場になっていると指摘。米軍機の訓練飛行が首都圏の空を危険な状態にしていることを米軍が自ら認めるものだと強調。

 同会議の資料(配布資料2、3、4↓)の中で、米軍が首都上空における航空機の訓練区域を設定している実態を示し、人口密集地上空に訓練区域を設定していることを自衛隊は知っているのに意見を言わない。容認するのかと追及しました。

 防衛省は米軍が同区域で航空機を運用していることは承知していると認めつつ、「東京都上空に、米軍の訓練のために我が国から提供している区域はない」と答えました。

 私は、米軍が勝手に設定しているということだ。主権の侵害だと厳しく批判。

 加藤勝信官房長官は「飛行訓練は、日米安保条約の目的達成のために極めて重要だ」と正当化。

 私は、危険な飛行訓練はきっぱりやめさせ、訓練区域も撤回させよと強調しました。

質問で使用した資料↓(クリックで拡大します)
資料1
資料2
資料3
資料4


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「議事録」

<第204通常国会 2021年4月14日 内閣委員会 18号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、都心の米軍ヘリの低空飛行問題について質問をいたします。
 この間、毎日新聞なども報道しておりますけれども、新宿を始めとした都心のビル群の間を縫って飛ぶような米軍ヘリについての動画なども紹介をされております。非常に航空法にも違反するような低空飛行訓練ではないのかといった、米軍ヘリの飛行問題が問われているときであります。
 この間、衆議院の予算委員会でもこの事実関係の確認というのを政府に求めたところですけれども、この毎日新聞が報道した都心の米軍ヘリの低空飛行について米軍に確認したかどうか、その点をまず官房長官にお尋ねをいたします。
○加藤国務大臣 米軍の飛行に関しては、在日米軍のハイレベルを含め様々なやり取りが行われてきており、これまで、米側からは、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に違反する飛行があったことは確認されていないこと、報道されている飛行から時間がたっていることもあり、詳細な事実関係の確認は容易ではないこと、飛行に当たっての安全確保は最優先事項であり、米軍の飛行はICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われていること、各部隊には米軍の規則に従った飛行を徹底するよう改めて通知したこと等の説明を受けているところであります。
 飛行訓練を含め、米軍の運用に際しては安全性が最大限確保されることは極めて重要であり、政府としては、米国に対し、例えば三月十六日の日米2プラス2の機会などを通じ、あらゆるレベルで累次にわたり申入れを行ってきているところであります。
○塩川委員 詳細な事実関係の確認は容易ではないということで、個々の事実関係については明らかにしておりません。
 毎日新聞によると、都心の上空で目撃されている低空飛行の事例というのが、米海軍ヘリのシーホークですとか、米陸軍のヘリでありますブラックホークとか、この低空飛行が目撃されているということでありました。
 そこで、防衛省にお尋ねいたします。
 資料を配付をさせていただきました。一枚目に、北関東防衛局が取りまとめた、米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表というのがあります。見ていただきますと、左の方から、苦情の申出者の方、新宿、調布、目黒の方が、平成二十九年の四月の十九日ですとかについてヘリの苦情を訴えるということについて、これは米軍かどうなのかということをただすということで聞いているわけです。一番右側に備考欄がありますが、ここでは、北関東防衛局、防衛省の方から米軍に問合せをして、米軍が飛行を認めると回答した話であります。
 つまり、こういった米軍機、米軍ヘリの飛行があるということを米軍側自身が認めている、防衛省がその点を確認をしているという資料があるわけであります。
 この点について、このように米軍自身がヘリの飛行を認めているということでよろしいですね。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねにつきましては、平成二十九年、二〇一七年当時、米軍に照会をいたしまして、いずれも米軍機の飛行であるという回答を得ております。
 米軍は、個々の飛行の内容は、運用に関する事項としてその詳細は明らかにしておりませんが、米軍機の運用に際して、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動することは当然の前提であり、防衛省としては、引き続き、米側に対して安全面に最大限の配慮を求めるとともに、地元の皆様に与える影響が最小限になるよう、日米で連携して対応してまいりたいと思っております。
○塩川委員 ここにありますように、四月十九日に苦情を受け付けて、二十一日には米軍が回答しているんです。こういうように、しっかり問合せをすれば、米軍側がその認否について明らかにするということは可能なわけですよね。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 このような情報が自治体等から寄せられた場合には、まず、自衛隊のものであるか、そういったものを確認した上で、自衛隊に該当するものがないということであれば、米軍に照会をして確認をしているところでございます。
○塩川委員 ですから、米軍にも照会をして事実関係についての確認をすることはできるわけでありまして、そういう点でも、時間がかかるからという話では通らない。まさに個々の事実関係については、当然、フライトプランなどは米軍であれ国土交通省に提出しているわけですから、飛行記録そのものは残っているわけであります。こういった事実関係を明らかにすべきだということを申し上げ、こういった苦情受付状況表を見ても、米軍ヘリが頻繁に首都上空を飛行しているという実態は、米側も認め、防衛省も承知をしているということであります。
 それから次に、資料の二枚目、三枚目、四枚目ですけれども、この資料は、二〇一三年四月二十一日に米軍横田基地が主催をした関東航空機空中衝突防止会議の資料ということでよろしいでしょうか。その点、確認します。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の資料は、平成二十五年四月二十一日に在日米軍横田基地で開催された関東航空機空中衝突防止会議で配付された米軍資料の一部であると承知いたしております。
○塩川委員 この関東航空機空中衝突防止会議というのはどのような会議なのか、このような会議を行う理由は何かについて御説明ください。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 関東航空機空中衝突防止会議は、横田飛行場に所在する米軍の第三七四空輸航空団が、航空機の空中衝突防止対策について、日本の民間機パイロット等と対話する機会を設けるなどの趣旨で開催しているものと承知しております。
○塩川委員 米軍の部隊が日本の民間機のパイロットと対話する機会を設けるとして開催をしていると。航空機の空中衝突防止対策についてということなんですけれども、何でこんなことをやるんでしょうか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 航空機の飛行に際しましては、それぞれ、計器飛行、それから有視界飛行ということで、自衛隊、米軍の航空機、それから民間の航空機も飛行しているわけでございまして、特にこの空域での衝突を防止するための趣旨、そのように承知しております。
○塩川委員 ですから、航空機の衝突というのは、航空機自身にも重大な被害をもたらしますし、当然、首都圏の上空ということでいえば、地上にいる我々にとっても被害を被るような重大な事故になりかねない話ですけれども、そういった会議を米軍が主催しているというのは何でなんですかね。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 米軍といたしましても、航空交通の安全ということにつきまして、きちんと対策を講じている、その趣旨であると認識しております。
○塩川委員 それは、日本の国交省、航空管制ではなくて、米軍がやっているというのはどういう意味なんですか。
○町田政府参考人 米軍が行っているということの趣旨につきましては、米軍としてもこの空域で航空機を運用している、その観点からこういった会議をしている、そのように承知しております。
○塩川委員 つまり、この首都上空で米軍が航空機の運用をしているということ、そのときに、米軍が飛ぶから民間の航空機は気をつけてね、そういう趣旨で民間機のパイロットなどにそのことを周知をする、そういう場として、空中衝突防止会議というのがあると。その点でいえば、まさに米軍機の訓練飛行が首都圏の空を危険な状態にしているということを米軍自身が認めているということですよね。
○町田政府参考人 先ほど申し上げましたように、米軍としても、横田飛行場から米軍機の運用を行っている、この空域で飛行していることから、それぞれの安全の対策について、日本の民間のパイロットとのそのような交換の場を持っておく、そういうことと承知しております。
○塩川委員 米軍機が飛行するということで、空中衝突の危険性があるから民間のパイロットなどに周知を図るというのがこの会議の目的だということになります。
 じゃ、どういうところを米軍機が飛んでいるか。
 この資料の四枚目の方を先に見ていただこうと思うんですが、これが空中衝突防止会議の中にもある首都圏の地図です。上に書いてありますように、横田エアベースVFRトレーニングエリアということですから、横田基地の有視界飛行の訓練区域の地図です。太い実線がC130のフォーメーションですから、編隊飛行訓練、こういうルートがある。UH1のフォーメーション、UH1ヘリの編隊飛行訓練がこの破線の部分になり、あと、セスナ機のトレーニングエリアというのが点線という形で行われています。
 首都上空でこのように米軍機が訓練を繰り返している。これは余りにもおかしいんじゃないですか。人口稠密地域で、こういったところで米軍機が訓練を繰り返している、こういうことを政府として容認するのか。防衛省、どうですか。
○町田政府参考人 今のお示しいただきました資料につきまして、自衛隊は本件会議に参加者として参加しておりまして、米軍作成の資料には関わっていませんことから、米軍資料について説明ある責任を行うことはできませんが、繰り返しますけれども、この区域についての航空機それぞれの安全についての認識を日本の民間パイロットと共有するということで、飛行の安全に資するために行っている会議、そのように認識しております。
○塩川委員 自衛隊も参加しているんですから、その意図するところというのは当然聞いていると思うんですけれども。
 首都上空で、こういう米軍機の、訓練飛行ですよ、訓練飛行をやっているということでいいのか。その点について。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 一般に、米軍機の飛行訓練は、パイロットの技能の維持向上を図る上で必要不可欠な要素であり、在日米軍が日米安保条約上の義務である我が国の防衛を全うする観点から重要なものですが、我が国の公共の安全に妥当な考慮を行って活動することが当然の前提です。
 日米間におきましてもこうした認識の共有を図っており、先月三月十六日に実施した岸防衛大臣と米国のオースティン国防長官との会談におきましても、在日米軍の安定的な駐留と日々の活動には、地域社会の理解と協力が不可欠であること、また、米軍の安全かつ環境に配慮した運用の確保が重要であることについて確認したところです。
 防衛省といたしましては、引き続き、関係自治体、関係省庁と、また米側と緊密に連携し、皆様の御不安を払拭すべく、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○塩川委員 自衛隊機の訓練空域というのは、首都上空にあるんですか。
○町田政府参考人 関東空域ということで申し上げます。
 場所は、神奈川県から静岡県、そして埼玉県、群馬県、長野県、そして新潟県にかかりますところで、自衛隊の高高度の訓練・試験空域のH空域というもの、それから、自衛隊の低高度の訓練・試験空域でエリア3と申しますもの、そしてもう一つは、自衛隊の低高度の訓練・試験空域でエリア4という、この三つがございます。
○塩川委員 エリアHとかエリア3とか、これは群馬上空なんですよ。そこも実際には自衛隊機は飛ばずに、米軍機が訓練しているんですよね。
 首都の真上で自衛隊機の訓練なんかしていないんですよ。それなのに、米軍にはこういう形で行わせているということで、資料の三枚目、見ていただきますと、UH1のトレーニングエリアというのが出てきます。破線のところ、片仮名のコをひっくり返したような図になっていますけれども、ここのところが横田基地所属のUH1のヘリの訓練空域になっているということは、そういうことでよろしいですね。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 米軍が、飛行訓練の目的の達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすとの観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあるということは承知しております。
 東京都の上空に米軍訓練のために我が国から提供されている空域はございません。
○塩川委員 こういう形で訓練空域があるというのは、自衛隊も、この会議に参加をして承知をしているということでいいですか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 米軍の運用の詳細については承知しておりませんが、繰り返しになりますけれども、東京都の上空に米軍訓練のために我が国から提供されている空域はございません。
○塩川委員 いや、我が国から提供はしていないけれども、米軍が勝手につくっている、このエリアというのは何かというのは、分かりますか。
○青木政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、米軍の運用の詳細については承知しておりませんが、米軍が、飛行訓練の目的達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすという観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあるということは承知をしております。
○塩川委員 そもそも、日本政府が何の関与もしないで米軍が勝手にやっていること自身が極めて重大な主権侵害じゃないですか。こういった点について、訓練空域を設定しているんですよ、訓練空域を勝手に設定していること、それでいいのかというのがまさに問われているので。
 官房長官、こういうように、米軍ヘリの訓練空域をいわば米軍が好き勝手に設定している、こういう状況はおかしいと思いませんか。
○加藤国務大臣 先ほど防衛省からも答弁させていただいたように、米軍機の飛行訓練は、パイロットの技能の維持向上を図る上で必要不可欠な要素であり、日米安保条約の目的達成のため極めて重要という認識でありますが、訓練の際には、公共の安全に妥当な注意を払い、安全性が最大限確保されるべきことは当然のことであります。
 訓練の実施による地域の方々の生活環境等への影響を最小限にするという観点から、政府においても、関係機関が緊密に連携して様々な取組も進めているところでありますが、そうした対応も重要だというふうに考えております。
○塩川委員 お答えになっていません。
 こういったように、横田基地のUH1の米軍ヘリの訓練空域というのを現にこういう形で示し、自衛隊も参加している会議でそれを追認しているというか何も文句を言わないという状況になっているときに、首都上空に米軍ヘリの訓練空域が設定されている。これが、米軍の横田基地の所属の訓練空域ですけれども、実際には、米陸軍のヘリ、ブラックホークですとか、米海軍ヘリ、シーホークも、この訓練空域を念頭に使用しているということになるんじゃないですか。それが首都上空での米軍機の低空飛行の大本にあるんじゃないのか。この点についてお聞かせください。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 米軍が、飛行訓練の目的達成と飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性、これを安定的に満たす必要がございますので、そういった観点から、一定の飛行経路、これを念頭に置いて飛行するということがあるということは防衛省としても承知をしております。
 繰り返しになって恐縮でございますが、この米軍機の飛行訓練、これは、パイロットの技能の維持等の観点から必要不可欠な要素でございますので、日米安保条約の条約上の義務である我が国の防衛を全うするという観点から、これは重要なものであるというふうに認識しております。
 といたしましても、我が国の公共の安全に妥当な考慮で活動するということは当然の前提でございますので、そういったことも踏まえまして、関係自治体、関係省庁、米軍と調整を図っていきたい、そういった形で皆様の御不安を払拭するよう、しっかりと防衛省としても対応してまいりたいと思っております。
○塩川委員 スカイツリーの周りをぐるぐるぐるぐる遊覧飛行のような飛行をするなんて、そんなの認められるわけないわけで、こういった米軍機の低空飛行の訓練、きっぱりとやめさせるべきですし、こういった訓練空域の設定そのものを撤回させる、こういうことをしっかりと言うべきだ、このことを申し上げて、終わります。